極私的アルバム評その274 - COZY POWELL 「OCTOPUSS」 | 雑文にて候

極私的アルバム評その274 - COZY POWELL 「OCTOPUSS」

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COZY POWELL
「OCTOPUSS」

1.Up on the Downs
2.633 Squadron
3.Octopuss
4.the Big Country
5.Formula One
6.Princetown
7.Dartmoore
8.the Rattler

コージー・パウエルが亡くなって早11年が経つ。

自分にとってコージー・パウエルは一種「憧れ」の存在であった。
確かなテクニックと力強さ、豪快さを併せ持つドラマーで、例えばシンバルの叩き方一つ取ってみても、他の誰とも違う「華やかさ」「オーラ」を感じさせる、稀有な存在のドラマーであった。

自分はドラム経験ゼロの全くの初心者であるが、もしドラムを叩くのであれば「こんな風に叩いてみたい」と思わせるドラマーで、正に「男が男に惚れる」「文句なく格好良い」存在であったわけだ。

元々「渡り鳥」と呼ばれ、一つのバンドに長居しない数多い彼のキャリアの中でも、純粋なソロアルバムは意外な程少なく、その数少ないアルバムの中でこのアルバムが一番気に入っている。

他のソロアルバムに比べてロック色が強く、ゲイリー・ムーアや、後に加入することになるWHITE SNAKEのメンバーが脇を固める。

ロンドン交響楽団をバックに従えたドラマティックな②、④、コリン・ホッジキンソンのベースとの緊張感溢れるバトルが聞き物の③、ゲイリー・ムーアの泣きのギターが、名曲「SUNSET」を思わせる⑦、デヴィッド・カヴァデールとの共作であるハードロックチューン⑧など、彼のダイナミックなドラムプレイが堪能できるアルバムとなっている。
個々の楽曲の良さ、バックメンバーの堅実なプレイも光る。

ドラマーのソロアルバムでしかも全編インストのアルバムとなると、聴いていて単調と思われるかもしれないが、そんな思いはアルバムを聴いてしまえば、吹っ飛んでしまうに違いない。

やたらテクニカル、やたらスピーディーな小手先のドラムとは違う、一球入魂ならぬ「一叩入魂」とでも言うべき熱いドラムが聴けるアルバムだ。