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極私的アルバム評その266 - LAAZ ROCKIT 「ANNIHILATION ・・・」

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LAAZ ROCKIT

「ANNIHILATION PRINCIPLE」

 

1. Fire in the Hole
2. Mob Justice
3. Chain of Fools
4. Shadow Company
5. Holiday in Cambodia
6. Bad Blood
7. Chasin' Charlie
8. Mirror to Madness
9. Omen


田舎に住んでいると情報を手に入れるのに偉く苦労する。


HR/HMに関する情報を得るには雑誌を買うか、田舎でも見る事が出来た唯一の洋楽専門の番組であるベストヒットUSAを毎週欠かさず見て、HR/HMに関する情報を細々と集めるしかなかった。


古い付き合いになる、私に負けず劣らずのHR/HMフリークである友人が東京近郊の出身で、MTV・Headbangers BallやPURE ROCKを録画したビデオを数多く所有していた。


田舎モノの自分にとっては、都会ではHR/HM専門の番組がいくつも見られるということが羨ましく、録画されたPVやミュージシャンのインタビューを見て一人感動しきりであった。このアルバムも正にそんな中で初めて聴いたアルバムである。


彼らの曲を聴いたのはこの時が初めてだったが、いわゆるベイエリア出身の香りがプンプンするサウンドにかなりのインパクトを受けた。代表曲①を始めベイエリア・クランチと言われたザクザクと刻まれるギターリフと突進するようなリズム、強力に疾走するスラッシュチューンが文句なく格好良い。


アルバム全体を通して疾走感溢れる楽曲が並ぶが、ドラマティックな⑧、パワーバラード⑨など、意外性のある楽曲もあり楽しめる。


ヒステリックなハイトーン吐き捨てヴォーカルは好き嫌いが分かれるだろうが、曲の持つ疾走感を更に高める効果を持っていると思うし、この曲にはこのヴォーカルが似合っている感じがする。


最後まで聴くと軽い疲労感を覚えるようなアルバムで、いかにもスラッシュメタルという潔さが良い。


昨年、オリジナルアルバムとしては17年振りとなる新作を出したばかりの彼ら。まだまだそのアグレッシブなスラッシュメタルを聴かせてくれそうだ。

極私的アルバム評その265 - ARCADE 「ARCADE」

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ARCADE
「ARCADE」


1. Dancing With the Angels
2. Nothin' to Lose
3. Calm Before the Storm
4. Cry No More
5. Screamin' S.O.S.
6. Never Goin' Home
7. Messed Up World
8. All Shook Up
9. So Good...So Bad...
10. Livin' Dangerously
11. Sons and Daughters
12. Mother Blues


RATTが好きで、彼らのアルバムは一通り所有している。


自分はこれほど好きなのだが、これまで周りにRATTを好きな人がおらず、寂しい思いをしていた。


そんな中で行きつけの美容院のロック好きの店長がRATTが好きだという事が分かり、髪を切りにいくとしばしばRATTの話で盛り上がっている。


RATTのどこが好きと言えば、二人ともスティーブン・パーシーのヴォーカルという事で一致しているのだが、世間一般のスティーブンに対する評価は余り良いとは言えない。


「声量が無い」「表現力に乏しい」「抑揚が無い」と酷い言われようで、RATT解散後に結成したこのバンドARCADEのデビューアルバムもさほど話題にならなかったと記憶している。


しかしこれが実に良いのだ。スティーブン以外はドラムに元CINDERELLAのフレッド・コウリー、他は無名のミュージシャンで固められたバンドであるが、ともかく1曲目のイントロから直ぐにスティーブンとわかる個性的なヴォーカルが飛び出し、いかにも彼らしいキャッチーな歌メロを持った適度にラフなHRが格好良い。


ストレートなロックンロールから、ドラマティックなバラードまで楽曲も幅広く、特にRATT時代は散々扱き下ろされたバラードも板に付いている。


LAメタルの雄として君臨した頃の華やかさ、洗練された部分は感じられないものの、格好良さはRATTに勝るとも劣らない。


しかしセールス的には失敗。バンドも2枚のアルバムのみで解散してしまう。


現在、スティーブンが再結成したRATTの活動以外にソロ活動も精力的に行っており、まだまだ元気な姿を見せてくれているのが、個人的には嬉しい限りである。

極私的アルバム評その264 - DARE 「BELIEF」

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DARE
「BELIEF」


1. Silent Thunder
2. Dreams On Fire
3. White Horses(Lions Heart)
4. Belief
5. Run Wild Run Free
6. We Were Friends
7. Falling
8.Where Will You Run To
9. Take Me Away
10. Promised Land
11. Phoenix


THIN LIZZYのキーボーディストとして活躍したダーレン・ワートン率いるDAREの4thアルバム。


正直このアルバムは全くHR/HMでは無い。しかし切なく、そして穏やかなメロディに心打たれる実に素晴らしいアルバムであり、メロディ派のリスナーのみならず「ヘヴィなもの以外はどうも」というリスナーにも強く勧めたいアルバムである。


前作同様、民族楽器を使用しケルト音楽を取り入れたサウンドに耳を澄ますと、雄大なアイルランドの大自然が目に浮かぶような感覚を覚え、心に染みいるメロディの素晴らしさ、煽情力に圧倒される。


前作までに比べてまた一段とアコースティックさが増したサウンドは、ロックを聴いているという高揚感、熱さはないものの、ダーレンの穏やかで包み込むようなヴォーカル、派手なプレイは無いものの、随所で強力な泣きを発するアンドリュー・ムーアのギターの旋律に心震わされ、そこから生み出される高揚感が非常に心地良い。


日々の生活に疲れた時に聴くとふっと心が和むような、正に「癒し」「ヒーリング」の力を持った素晴らしいアルバムだ。