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極私的アルバム評その272 - Versailles 「NOBLE」

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Versailles
「NOBLE」

1.Prelude
2.Aristocrat's Symphony
3.Antique in the Future
4.Second Fear -Another Descendant-
5.Zombie
6.After Cloudia
7.Windress
8.The Revenant Choir
9.To The Chaos Inside
10.Suzerain
11.History of The Other Side
12.Episode

日本のバンドに詳しい知人から、「気に入ると思うので是非聴いてみて下さい」と勧められて聴くことになったヴィジュアル系バンドVERSAILLESの1stフルアルバム。

ヴィジュアル系はMALICE MIZERと海外で広く知られる前のDIR EN GREYぐらいしか聴いた事の無い「ヴィジュアル系初心者(?)」の自分にとっては、余りにも耽美なヴィジュアルに少々驚きつつも、そのヴィジュアルからは想像も付かないサウンドにすっかりハマってしまった。

基本的な音楽性はシンフォニックでメロディックなパワー・スピードメタルで、そこにヴィジュアル系らしい耽美的な歌詞世界が展開されるという非常に個性的なもの。
シンフォニックな①からドラマティックに疾走する②を筆頭に、④、⑥、⑧など、いかにものクサメロが展開されるジャーマンメタル的な楽曲が主であるが、メロウなバラード⑦、カオティックな⑨など、楽曲のバラエティも豊か。

デビューフルアルバムとはいえ、メンバーは数多くのバンドを渡り歩いた強者揃いのバンドだけに安定感は抜群で、特にツインギターのメロディの構築力、テクニックはずば抜けている。

いかにもヴィジュアル系というルックス(特にギターのHIZAKIは女性と見紛うほどのルックス)とKAMIJOのディープな低音ヴォーカルには、戸惑うリスナーもいるかと思うが、「聴かず嫌い」になるには勿体ない魅力を持ったアルバムだ。

ちなみに「BURRN!」誌5月号で、「今聴いておくべき日本のメタル・アルバム10選」として紹介されているので、そちらも是非参照されたい。

極私的アルバム評その271 - Michael Sweet 「Touched」

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Michael Sweet

「Touched」


1. You Are So Beautiful
2. Together As One
3. She's Got A Way
4. All Of Me
5. Without you
6. First Love
7. The First Time Ever I Saw Your Face
8. Honestly
9. The Rose
10. My Love, My Life, My Flame
11. Color My World


STRYPERのヴォーカルとして、その素晴らしいヴォーカルで多くのメロディアスHRファンを魅了してきたマイケル・スウィートの2007年発表のソロアルバム。


②、④、⑥、⑧といったSTRYPERのセルフカバーの他に、ビリー・ジョエルやロバータ・フラック、ハリー・ニルソンらの名バラードを取り上げたカバーアルバムであるが、彼の持ち味である透き通るようなハイトーンヴォーカルが絶品な素晴らしいアルバムに仕上がっている。


この人の凄いところは、STRYPERで活躍していた20年前と比べても、全くヴォーカルに衰えが見られない事。

声量、声の張り、どれをとってもあの頃と全く変わりないのには驚かされる。


このアルバムが、ステージ4の癌に冒された彼の亡き妻に捧げられたアルバムであり、何故彼がこれらの曲をセレクトしアルバムを作ったのかということを深く考えさせられるアルバムである。


その事を理解した上で、唯一の新曲⑩を聴くと、彼の妻に対する愛情の深さと思いに、思わず胸にこみ上げてくるものがあるアルバムだ。

極私的アルバム評その270 - STURM UND DRANG 「Rock 'n Roll ・」

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STURM UND DRANG

「Rock 'n Roll Children」


1.Last Of The Heroes
2.River Runs Dry
3.Break Away
4.Sinner
5.A Million Nights
6.Alive
7.These Chains
8.That’s The Way I Am
9.Life
10.Heaven (Is Not Here)


今やヨーロッパにおけるHMの一大産地となったフィンランド出身の期待の若手、Sturm Und Drangの2'ndアルバム。


このバンドは全員現役の高校生という非常に若いバンドであるが、現在トレンドとなっているラウドでエモーショナルなサウンドでは無く、EDGUYやSONATA ARCTICAを思わせるメロディックでオーセンティックなHMを聴かせている。


前作に比べ曲構成、演奏力とも向上しているが、その若さゆえ、クリーンなハイトーンヴォーカルにはまだまだ「青さ」が残るし、表現力の点でも物足りなさを感じる。


しかし、この若さでトレンドとは無縁とも言える実にオーソドックスなHMに徹しているというのは嬉しい限りであり、ベタではあるが、シンガロングを誘うようなキャッチーなメロディに溢れた楽曲が魅力的だ。特に疾走感のある①~③の流れは絶品で、曲作りの巧さが光っている。


まだまだ伸びる要素を持ったバンドであり、今後どのように”進化”していくか、非常に楽しみな存在である。