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極私的アルバム評その269 - JOE PERRY 「JOE PERRY」

雑文にて候-JOE PERRY

JOE PERRY

「JOE PERRY」


1. Shakin’ My Cage
2. Hold On Me
3. Pray For Me
4. Can’t Compare
5. Lonely
6. Crystal Ship
7. Talk Talkin’
8. Push Comes To Shove
9. Twilight
10. Ten Years
11. Vigilante Man
12. Dying To Be Free
13. Mercy


ジョー・ペリーのソロアルバムである。


前作から実に22年振りとなるソロアルバムで、御大も50歳を過ぎたがこの格好良さは何なのだ?

まずジャケットからしてこのクールさである。


以前、スティーブ・スティーブンスのソロアルバムのレビューでも書いたが、年齢を重ねて通常であれば枯れていく一方のはずなのに、この格好良さは驚異的で反則ですらある。


勿論見た目だけでなく、ハードにドライブする①や⑤の格好良さ、ブルージーなギタープレイの渋さにやられる⑨、最愛の妻に捧げたバラード⑩など、佳曲が揃っておりアルバムの内容も充実している。


巷では「スティーブン・タイラーが歌っていれば・・・」というような声もあるようだが、そんな事はどうでも良い。


ダルでルーズなジョーのヴォーカルが、適度に隙間のあるロックンロールにピッタリとはまっており、正にスルメではないが聴けば聴くほど味の出るアルバムと言える。


ジョーのギターも正に職人技。派手なテクニックは無くとも、ギターのカッティング、リフの作り方一つ一つのセンスの良さには改めて脱帽だ。


ロックの熱さを感じるというより、レイドバックした大人のロックの魅力を味わえる好盤だ。

極私的アルバム評その268 - Steve Stevens 「Memory Crash」

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Steve Stevens
「Memory Crash」


1. Heavy Horizon
2. Hellcats Take The Highway
3. Memory Crash
4. Water On Ares
5. Day Of The Eagle
6. Small Arms Fire
7. Cherry Vanilla
8. Joshua Light Show
9. Prime Mover
10. Josephine


この春で37歳になる。


中学の頃(13歳)より、洋楽HR/HMを聴き続けているので、早くも24年のキャリアになろうとしている。


その間、多くのミュージシャンを見聴きして、当然憧れのミュージシャンは数多くいるのだが、ギタリストとなるとある共通点がある。


不思議な事に、全員レスポールをメインで使っている人ばかりなのだ。


ジョー・ペリー、ジョン・サイクス、今は亡きスティーブ・クラーク、そしてこのスティーブ・スティーブンスである。


初めて彼の存在を知ったのは、ビリー・アイドルのギタリストとして、あの大ヒットした「REBEL YELL」でのプレイを聴いたとき。ハードなギタープレイ、華麗なパフォーマンス、その強烈な存在感に釘付けになってしまった。


その後の活躍振りは周知の通り。TOPGUNのサントラから、自信のバンドを率いての活動、マイケル・モンロー、ヴィンス・ニールといった一流ミュージシャンとのコラボレーション、トニー・レヴィン、テリー・ボジオといったテクニシャンとの技の競演、元々何でも出来る・弾ける引き出しの多い人だけに、その活動範囲は多岐に渡っているわけだ。


このアルバムは前作から実に10年ぶりとなる久しぶりのソロアルバムで、スティーブ自身も50歳を超え、普通であればレイドバックした音楽性に移行するのであろうが、まったくそんな気配はない。


まず、このジャケットからしてタマラナイ。この年になって枯れるどころかギターを持ったキメポーズが最高に格好良くきまっていて、思わず見とれてしまう程だ。


全編に渡って②、③のようなハードなプレイを聴かせるが、哀愁のスパニッシュプレイが冴える④、ジミ・ヘンドリックスを思わせるグルーヴィーな⑤、浮遊感のある⑧など多彩な内容で飽きさせない。適度にラフでアグレッシブで多彩なプレイ、フレーズ一つ一つの組み立て・センスの良さが実に見事。


未だ衰えしらずの、彼の熱いスピリットが詰まった痛快なアルバムだ。

極私的アルバム評その267 - LACUNA COIL 「KARMACODE」

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LACUNA COIL

「KARMACODE」


1. Fragile
2. To The Edge
3. Our Truth
4. Within Me
5. Devoted
6. You Create
7. What I See
8. Fragments Of Faith
9. Closer
10. In Visible Light
11. The Game
12. Without Fear
13. Enjoy The Silence (Depeche Mode cover song)


2007年に開催されたLOUD PARK07を見に行ったとき非常に残念なことがあった。

子供の学校行事とバッティングし2日目をまるまる見られなかったのだ。

SATYRICON、WIG WAM等、見たいバンドがたくさんあったのだが、やはりこのLACUNA COILを見られなかったのが、非常に残念だった。


イタリア出身のこのバンドの4枚目にあたるアルバムを聴いて、非常にインパクトを受けた自分にとって、是非ともその姿を拝みたかったのだが叶わなかったのだ。


それはともかくこのアルバムは凄い。基本的な音楽性はゴシックメタルであるのだが、他のバンドとはまるで違う、オリエンタルなメロディを絡めたグルーヴィーなサウンドが強烈な個性・存在感を生み出している。


MEGADETHやAPOCALYPTICAのアルバムにゲスト参加するなど、今やメタル界のディーバの一人として絶大な人気を誇る、クリスティーナ・スカビアの堂々としていながらメランコリックな情感を醸し出すヴォーカル、もう一人のヴォーカル、アンドレア・フェローとの絶妙なコンビネーション、曲に強力なグルーヴ感を与えるマルコ・コッティ・ゼラッティのベース、どれを取ってもこれまでのキャリアの中でも最高の出来と言える。


典型的なゴシックメタルは苦手というリスナーでも、この独特のメロディ展開には耳を引かれるだろうし、ポップでキャッチーな⑨などは非常に聴きやすいと思う。


OZZFESTに参加しアルバムも好セールスを記録したことで、ヨーロッパのみならずアメリカでも広く存在を知られることになったバンドのこれからが非常に楽しみだ。


そしていつの日か、再来日の際は是が非でも駆けつけたいと心に誓う次第である。